パイロットイベントで観客を入れるか入れないかという綱引きをしていたイギリス競馬だが、ここに来て情勢が悪化してしまった。



10/1から順次競馬場に観客が戻るという望みがあったのだが、その楽観は消えた。

イギリスではCOVID-19の新規感染者数が9/23には6000人を超え、4月のピークに匹敵する数に上っている。
ジョンソン首相により病気の伝染を抑えるための制限がアナウンスされ、それには今月のニューマーケット競馬場におけるケンブリッジシャー開催などのパイロットイベントを有観衆で開催する事の禁止を含んでいた。
ジョンソン首相はまた「明らかな前進がない限りは、制限はもしかすると6ヶ月続くのではないか」と語っている。

今後半年間の有観客開催の見通しが立たないとなると、ジョッキークラブの競馬場における最重要開催である、来年のチェルトナムフェスティバルも無観客開催となる可能性がある。
イギリスの競馬場は、今年2.5-3億ポンドの収入を失っており、賞金の減額に端を発して競馬産業全体に深刻な悪影響が及ぶ、というステートメントがBHA等から出されている。

イギリスで競馬場を訪れる人は年間600万人に上り、これは国内で2番目の数字である。
ニューベリー競馬場によると、過去12ヶ月の収入はCOVID-19の影響で68%減少した。

BHAは他のメジャースポーツと協力しつつ、政府に直接的な財政援助を求めている。スポーツ産業は全体で60万の雇用と160億ポンドの経済効果を生み出し、競馬産業のみでも40億ポンドを生み出している。
イギリスでは今年7月に、芸術分野に対して15.7億ポンドの財政援助が行われた実績がある。


なお有観客開催が再開されていたフランスでも感染拡大が再燃しており、観客数の制限が強化される見通し。
厚生大臣によると凱旋門賞のようなイベントにおける上限は5000人から1000人になるとのこと。

そう言えば、Ghaiyyathは凱旋門賞に出ない方向らしい。
前走の2着を見て「今シーズンのピークを過ぎてパフォーマンスを落としている」としたので、出てきてある程度人気する所を嫌って妙味、と考えていたので馬券的には残念。
陣営としては懸命な選択に思える。


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無観客開催が確定的になった10/17のチャンピオンズデーだが、今年は世界20の国でベッティングプールが統一される。
ロイヤルアスコット開催では過去2開催で行われていたこの取り組み、今年は賭けの総額を9220万ポンドから1.37億ポンドに引き上げる効果があったそうだ。特に香港のプールが大きい、というのは予想通りである。


ニュージャージー州では、安全の目的以外でのムチの使用を禁止するという規則が来年から施行されるそうだ。

(補足)
ムチそのものも柔らかい素材のものに置き換えられている。
またカリフォルニア州でも、3連続以上の使用およびレース中7回以上の使用が禁止される。

もちろんこの措置には賛否両論があり、はいそうですか、で済む話ではない。

この記事が様々な立場の意見について詳しかった。

動物愛護主義者のブログを見ると手放しに喜んでいるようだが、自分たちのイデオロギーが至高であり、他者の立場を考慮しない物言いはいかにもアメリカ的だな、と感じる趣深いものである。


オープンで客観的な議論は必要だが、この物書きはオープンで客観的には見えない。
頭でっかちなだけの人たちは好きになれない。



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