大相撲における新型コロナウイルス感染症に伴う場所中の休場について.

大相撲では,同じ部屋で新型コロナウイルス陽性者が出た場合に,一部例外(同室でない場合など)を除き,部屋の所属力士は場所中でも休場扱いとなる,という運用をしている.

今場所は感染症拡大の影響で,この運用による場所中の休場者が続出している.
現時点で相当数(2割かそれ以上?)が休場しているが,八角理事長の言葉を借りるなら「残された者で頑張るしかない」.

問題になるのは,部屋から陽性者が出て途中から休場となった力士の番付編成をどうするかである.
このようなシチュエーションの途中休場の場合に,番付編成をどうするかのルールが明確でないという所が悩ましい.

番付編成には色々な方法が考えられ,
① 出場分(除不戦敗;以下同様)の勝ち越し・負け越し数をそのまま適用する
② 出場分の勝率を残りの日程全てに出場した場合を仮定して勝敗数を計算する
③ 何らかの計算式により全日程に出場した場合の「期待される勝敗数」を求める
④ 全員据え置き
⑤ 勝ち越し・負け越しが確定している力士のみ出場分の勝敗数を勘案する

などが挙げられる.

例えば十両の力士が2勝4敗で7日目に不戦敗,8日目以降休場となった場合,
① 負け越し2として編成
② 15日換算で5勝10敗→負け越し5として編成
③ ???
④ 据え置き
⑤ 4敗なので勝ち越し・負け越しは確定していない→据え置き

となる.

③は現実的に難しいだろう.誰がやるのか?という問題に加えて,そもそも統計的モデルというのは統計的に「最善」なだけで,予測可能性が高い保証もない.

①②はどうかだが,個人的には反対である.
そもそも勝ち越し・負け越しというのは15番ないし7番取った結果として考慮されるべきものであると考える.地位によって,序盤が格下中心になる力士,格上中心になる力士が存在するため,途中までの結果のみを切り取る,もしくは外挿するのは適切ではないだろう.シンプルに不公平だからである.
(同様に,御嶽海が関脇に陥落するのは不適当だと考える)

であるならば,個人的には⑤が無難だと思う.
2勝8敗なら負け越し1,9勝1敗なら勝ち越し3として編成すれば良い.
この方法ではほとんどの力士が据え置きに該当するだろうが,実際の相撲の結果以外のもので,相撲の結果を代替させるというのは極力避けるべきではないか.
④でも良いくらいなのだが,明らかに勝ち越しや負け越しが確定している場合に据え置きになるのは違和感しかない.なので⑤である.

もちろん大量に据え置きが発生すると番付編成が異常に難しくなるので,休場時点までの勝ち越し・負け越し数に関連する微小な変動は必要になるかもしれない.
大量の据え置き力士がいる場合,15番取って若干の勝ち越し・負け越しだった力士の適当な配置を見つけるのが難しい場合がある.そのような場合に,適当な地位を「空ける」ために半枚~1枚程度の変動はあっても良いかなと思う.それに伴い,途中休場力士の中で相対的な位置が若干変動するのも許容すれば良いと思う.全ての途中休場力士の相対的な地位を完全に固定する必要があるとまでは思わない.
しかし,それはあくまで「15番取った力士の適当な配置を見つけるのが難しい場合」にのみ行われるべきで,ベースは⑤が良いと考えている.

(加えて,大量の不戦勝をどう扱うか?という問題もある.これだけ大量の不戦勝があると,「据え置き」の力士を除く力士が平均して勝ち越している事になるので,それらの力士の番付を上げようとすると,誰かの番付を下げなければならない.番付編成上は新型コロナのプロトコルに伴う不戦勝を除外する,というのが妥当なように思われるのだが・・・)


95c309dd